60】不妊: ₀₇₎子宮卵管造影

子宮卵管造影検査

 

 ❷ ❸

 

子宮卵管造影は、子宮や卵管のレントゲン検査です。①~③を調べます。

①卵管の通過性
(卵管の通りが良いか悪いか、閉塞していないか)を調べます。

❶子宮に入った精子は卵管に入り、卵管の先端(卵管膨大部)まで達します。

そこで、卵管に入ってきた卵と出会い受精します。

❷受精卵は細胞分裂をしながら卵管内を子宮に向かって移動し、❸子宮内膜に着床します。

(受精卵は、卵管壁から栄養をもらい細胞分裂します。卵管の内壁が傷んでいると、細胞分裂が進まないことがあります)

✖卵管が詰まっていると精子や受精卵が通れず妊娠はしません。

 

②卵管や子宮の周囲に癒着
卵管は掃除機のホースの様に卵巣に寄って行き、卵巣から排卵された卵を吸い込みます。

卵管や子宮の周囲に癒着があると、卵管が動けず卵巣に近づくことができません。その為排卵された卵を吸い込めません。

又卵管は、腸の様に蠕動運動をします。卵管膨大部で受精した受精卵は卵管の 蠕動運動で子宮内に送られますが、卵管の周囲に癒着があると蠕動運動ができず移動できません。

 

③子宮の形
稀ですが子宮奇形の為に子宮の形が悪い方がいます。子宮筋腫の為に子宮内が変形している方がいます。流産や人工妊娠中絶術を受けた為子宮内が癒着や変形している方がいます。

子宮の形が悪いと、妊娠しにくかったり、しても流産することがあります。

 

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方法
子宮や卵管はレントゲンでは映らないので、子宮口から管を通して、レントゲンで映る液体である造影剤を注入します。

 

注入された造影剤で、子宮内が逆三角形に白く映ります。

造影剤は子宮から卵管内を流れていき、更に卵管采(卵管の出口)から腹腔に流れ出ます。レントゲンでは、その流出が映ります。

腹腔内に流れ出た造影剤が、子宮の左右で、白い雲の様に広がり腹腔内に拡散していくのが映ります。
(腹腔内に入った造影剤は1時間以内に分解され消失します)

 

  

 

 

上記のレントゲン写真では、
左右卵管の通過性は良好です。又
卵管を通って腹腔内に流出した造影剤は、腹腔の中で良く拡散していて卵管周囲に癒着が無さそうです。
子宮内の形は正常です。

 

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     このレントゲンでは、両側卵管が写っていません。両側の卵管角で両側卵管閉鎖が考えられれます。

 

  このレントゲンでは、卵管が吊り上がっているので、卵管周囲に癒着がありそうです。

 

このレントゲンでは、卵管の出口(卵管采)が閉鎖していて、卵管に液体が溜まっています。

 

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子宮卵管造影検査を行う時期
月経直後に行います。月経が終わった後で、排卵に近くない時期に行います。

検査にかかる時間
検査の前の準備に20∼30分かかります。検査自体は10~15分位で終ります。検査後1時間位安静室で休んでいただき、異常が無ければ帰宅していただきます。

 

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子宮卵管造影でわかる事柄:(上記の繰り返しになりますが)
①卵管の通過性
卵管の通過性。詰まっている場合は閉塞部位。

②卵管や子宮の周囲に癒着
卵管や子宮周囲に癒着の有無や癒着の程度。(見当が付きます)。

③子宮の形
子宮奇形や子宮筋腫の為の子宮内の変形。流産や人工妊娠中絶術後の子宮内の癒着や変形。

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★★検査後妊娠する方が多いです
造影剤を多少圧力をかけて卵管内に注入するので、検査後、卵管の通りが良くなり、6カ月以内に妊娠する方が多いです。子宮卵管造影検査は「検査と治療」を兼ねた検査です。

 

フェリング小冊子(指導,慶応大学客員教授,田邊)              【不妊,不育症診療,パーフェクトガイド】16.4 
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