03】妊娠中期: ₁₀₎妊婦貧血、貧血の食事,薬

貧血(妊娠中)
原因:
胎児の生育に鉄分が必要なので、母から胎盤を通して鉄分をもらっています。その為母が鉄欠乏性貧血になりやすくなります。血液中の鉄分(血清鉄)が少なくなります。
妊娠中は体の中の血液量が増えるので(体の水分量が増えるので)どなたでも妊娠後半になると、ある程度は血液が薄まって軽い貧血の状態になります。
✿妊娠中の貧血は、ほとんどが鉄欠乏性貧血です。鉄分補給によって予防したり治療できます。

予防:
鉄分を多く含む食品を摂って予防します(深谷市母子手帳p64参照)

鉄分を多く含む食品:卵、肉類🐂🐷、レバー、大豆や大豆製品(豆腐、納豆、豆乳)、緑黄色野菜、果物、海藻(ヒジキなど)
✿鉄を含む食品をとっても腸から実際に吸収される鉄分は、摂取した量の10%程度です。

 

鉄分には数種類ありますが、ヘム鉄が腸からの吸収が良いです。ヘム鉄は、赤みの肉🐂🐷、🐟レバー(妊娠初期は禁)に含まれます。
✿✿レバーには多量の鉄分が含まれているし、その吸収が良くなる蛋白質も同時に含まれているので貧血予防には非常に良いのです。しかし、

✿✿「妊娠初期にレバー」を摂ると、レバーには多量のビタミンAが含まれているので、少量摂っただけでもビタミンAの過剰摂取となり、胎児に悪い影響が出ることがあります。その為妊娠初期ではレバーは禁止しています。もし妊娠初期にレバーを摂るとしたら焼き鳥の串の1/3~1/2以下程度に留めます。ニラレバ炒め等を食べると猛烈にビタミンA過剰になります。

 

摂取した鉄分が腸から吸収されやすくする為に蛋白質ビタミンCを一緒にとると良いです。

 

 

妊婦健診(定期健診)中には、妊娠初期、中期、末期に貧血が有るか無いか血液検査をします。

貧血が無ければ、母子手帳p64に書かれているような貧血予防の食事に多少気を付けていただけば良いです。
軽い貧血の時は、母子手帳P64の食事の他に、鉄サプリを摂っていただいても良いです。
中等度や高度貧血の時は増血剤(鉄剤)の内服や注射が必要になります。

病院で処方する増血剤は1錠(フェロミア1錠50㎎)で豚レバー400g相当の鉄分が含まれています。
内服の増血剤の腸から吸収される鉄分は10%程度で、残り90%は便に排出されます。排出される鉄分の為に服用中は便が一時的に黒くなります。

鉄サプリには、錠剤により含有量に違いがあり、又鉄剤には数種類あり、それぞれ腸からの吸収率も違うので妊娠中に日常的にサプリで鉄を摂ること(何をどれだけとるか)は難しいと思います。
鉄分も過剰摂取すると、鉄が肝臓に沈着して問題が起こります。

 

 

✿妊娠後半では1日鉄20∼30㎎を含む食品の摂取が必要とされています(日本人に対して)
✿WHO(国連世界保健機構)勧告:
WHOでは「貧血の有無にかかわらず、すべての妊婦に鉄30~60㎎/日と葉酸400㎍摂取」を勧めています(必ずしも日本人対象ではありません)。(この勧告では、量が、食品+サプリの合計の量㎎,㎍なのか、食品に加えてサプリでこれだけ追加摂取した方が良いのか不明です)

 

 

✿妊産婦死亡率は皆様の努力の結果、次第に少なくなりましたが、いまだ2013年時点では10万人に3.4人(妊産婦3万人に1人の割合)あります。2013年では日本全体の妊産婦死亡の総数は36名でした。日本の妊産婦死亡率は世界的に見て最少の部類の属しています。
✿明治32年では妊産婦死亡率は10万人に410人(2500人に1人の割合)と非常に高率でした。「片足を棺桶に突っ込んで出産に臨む」とまで言われていました。
✿それが次第に減少し2013年時点では10万人に3.4人(妊産婦3万人に1人の割合)であります。現在のこの「妊産婦死亡率10万人に3~6人」は妊産婦死亡率を減少させる限界ではないかともいわれています。
✿医学と医療技術の進歩と向上、経済力,財政力の増大、医療制度,社会保障制度,健康保険制度の整備,普及により妊産婦死亡率を次第に減少させ現在では限界近くまで減少していますが、日本全体でみると毎年必ず40名近くの方が出産前後で、いろいろ手を尽くしても亡くなっております。

 

その妊産婦死亡の原因の1位が分娩前後の大出血です。
分娩時の予期できない突発的な大出血は300人に1人起こります。
万が一の分娩前後の大出血に備えて貧血は治して分娩に臨みたいです。

 

深谷市母子手帳’16、P64、 【妊娠中の食事と栄養】、 【産婦人科外来での鑑別診断の手順と薬物療法】’15、 Wikipedia’17、 産科危機的出血への対応指針’17
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