53】乳癌: ₀₁₎乳癌自己検診法(月1回、ご自分で)

  乳癌と乳癌自己検診

欧米では以前から乳がんが多いですが、日本でも乳癌は年々増加していて特に近年は急増しています。現在では女性の癌の中では第一位になっています。

 

上図はJ-POSHより…図を2回クリックすると拡大します(2回連続のダブルクリックではなく)

欧米では、乳がんは、閉経後の方に多いですが、日本では閉経前の40代の方にも多いです。

 

日本では、乳がんが最も多い年齢は40~60才ですが、30才から増え始めます。70才でもそれほど減りません。毎年7万人が乳がんにかかっています。

 

上図はJ-POSHより

乳がんになりやすい方。
1.姉妹が乳がんになったことがある方。
2.ご本人が乳がんになったことがある方。(反対側にできたり、再発もあります。
3.高年初産の方。
4.産婦の方。
5.過剰栄養(高蛋白、高脂肪)による肥満の方。
6.初経が早い方、閉経が遅い方(女性ホルモンの分泌年数が長い為)。
7.Pillを長期に服用している方。(極々わずかですが乳がんになりやすいです)(Pillによる乳癌リスクは極々わずかなので、Pill服用するメリットと、リスクのバランスを考えて服用します)(Pill服用中の方は月1回、乳がん自己検診して下さい)

乳癌のできやすい部位、
①上方の外側
②上方の内側、
③下方の外側、
④下方の内側、
⑤乳首や乳輪、
⑥全体にまたがる、の順です。

上図は、東北大学データ(2011∼2014年)、対がん協会パンフレットより。

 

乳がん自己検診について:
★乳がんはご自分で発見できる数少ない癌の一つです。月に1回は自己検診して下さい。
★病院で乳がんと診断された方の90%は、ご自分で乳房にしこりを見つけて受診された方です。早期に発見されれば、治癒率100%です。
★自己検診している方は、していない方より乳がんのしこりが小さいうち(直径約2㎝以下で)に発見しています。
★乳がんの若年化が進んでいるので、遅くても30歳から乳がん自己検診して下さい。
●●乳がん自己検診していて、病院で乳がんの定期検診は必要です。(自己検診では見つけられない乳癌もあります)。
●●病院で乳癌の定期検診していて、自己検診は必要です。(乳癌の2年毎の定期検診の間で数ヶ月で急速に発育する乳癌もあります)。

 

 

乳房のしこり(腫瘤、腫瘍)
悪性腫瘍乳がん)のしこり(腫瘤)は初めは、
硬くて、
痛みのない
③表面が凸凹、ゴツゴツした、
小さなしこりです。
動きが悪い周囲と癒着している為)。
月単位で大きくなります。1~2か月のうちに急速に増大します。・・・月単位で急速に大きくなるしこりは要注意です。


直径2㎝以下で発見すると、乳がんであっても、10年生存率(ほぼ完治)は、89%です。
より小さいうちに発見すると、10年生存率は、さらに高くなります。

良性腫瘍のしこり: 乳房中にしこり(腫瘤、腫瘍)ができることが度々あります。実際には良性のしこり(腫瘤、腫瘍)の方がはるかに多いです。(乳腺の良性腫瘍、乳腺繊維腺腫、乳腺症、脂肪の塊、皮膚腫瘍等)。


①表面がツルっと滑らか、
よく動く
周囲と癒着していない)
良性のしこりの場合は、1∼2ヶ月様子を見ているうちに、
縮小したり消失することがあります、
大きさ不変のこともあります、
たとえ大きくなるにしても年単位とかゆっくり増大

①~⑤の場合は、心配ない事が多いですが、しこりを感じたら一度外科を受診して下さい。

 

 

乳癌自己検診の実際(実施)
★自己検診する時期:月経直後(月経終了後1週間以内)(排卵から月経終了までは乳房が張る為避けます)。閉経後の方は、毎月、日を決めて行います。
★乳腺は見た目の乳房よりかなり外側まで広がっています。見た目の乳房より外側まで注意してCheckします。

1) 鏡の前で乳房の形をCheck。
まず両腕を下げた状態で観察。   その後両腕を挙げた状態で、正面、側面、斜めを鏡に映して下記を観察します。
       
図は、AstraZenecaパンフレット,監修:東北大学教授,大内, 一部改変

・左右の乳房の ・(大きさ)の異常、 ・(大きさ左右差はないか
乳首引きつれはないか、
皮膚引きつれや、
皮膚エクボの様なへこみ(エクボサインと言いますがその下に癌が有る事があります)、
皮膚豚の皮オレンジの皮の様なザラザラした部分(その下に癌が有る事があります)はないか、
乳首へこんだり、
乳首や乳輪湿疹の様なただれがないか


又両腕を挙げて体を少しひねりながら鏡に映して見ることもあります。


又両腕を挙げて、前かがみになったり、胸をそらせてり、手を腰にとって鏡に映して見ることもあります。


2)
 次に、
仰向けになって、 まず左腕を上げた状態で、左乳房もCheckします。

上図は癌研究会,家族計画協会パンフレットより
(乳房が垂れるほど大きな方は、左肩(調べる側の肩)の下に、あまり高くない枕、又はバスタオル等を折って入れ、乳房が胸の上に均一のに広がるようにします)
左手を頭の下に差し入れます。
  
★右の示指∼薬指の3本をそろえて伸ばし指の腹しこり(腫瘤)の有無探ります。外側から内側に向かって滑らせるように端から順に探ります。
★この時指先でつまむようにすると異常がなくてもしこりの様に触れてしまいますから、必ず指先の腹、皮膚の上から胸壁に向かって押すようにしながら、滑らせる様に指先を移動しながら探ります。

★指を平行に滑らすように探っても良いし、「の」字を書きながら探っても良いです。
★平行に滑らすのではなく、乳首から外周へ、又は外周から乳頭に向かって渦巻き状(上方の図)に調べることもあります。

★乳房にベビーパウダーを塗ったり、入浴時なら石鹸をつけると指先が滑らかに移動しやすくなります。


3)
 仰向けのまま、今度は右腕を上げて、右乳房を左指を使って、同様にCheckします。


4)
 左右の脇の下に指をそろえて差し込み、しこり(リンパ腺の腫れ)の有無を調べます。シコリを触れなければ正常です。

5)
乳首をつまんで、血液の混ざった分泌物が出ないか確かめます。

AstraZenecaパンフレット,監修:東北大学教授,大内, 一部改変      対がん協会パンフレット、    家族計画協会パンフレット    J-POSHパンフレット   日本乳癌学会HP、  宮城県予防医学協会パンフレット、


読んだだけでは、わかりにくい方は、来院していただいた時に、実地でお教えいたします。3~5分で済みます。
乳がん検診は、基本的に外科で行います。産婦人科では「自己検診の方法」をお教えいたします。

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