39)オリモノが多い:①カンジダ膣炎、②細菌性膣炎、性感染症(③トリコモナス膣炎,④クラミジア,⑤淋菌)、⑥萎縮性膣炎

オリモノが多い:
オリモノが多い時は、①カンジダ膣炎、②細菌性膣炎、性感染症(③トリコモナス膣炎,④クラミジア,⑤淋菌)、⑥萎縮性膣炎、等を考えます。
①カンジダ膣炎
*オリモノが多くて困る時は、カンジダ膣炎の事が多いです。
*カンジダは
カビの一種です。体調が悪い時に(体力低下時に)自然に生えてきます。抗生物質長期使用後(最多)、疲れ、ストレス、不眠、風邪、糖尿病中、妊娠中(女性ホルモンの影響で)起きやすいです。
*いわゆる性病とは違いますが、女性から男性に感染することがあります。男性から女性への感染は少ないです。健康な方には感染しにくいです。健康な方はたとえ感染してもすぐに治ります。

❈カンジダ膣炎の症状は酒粕、ヨーグルトやチーズ様のオリモノが塊になって出てきます。膣壁が荒て出血しやすくなります。カンジダ外陰炎が同時に起こっていることが多いです。
❈カンジダ外陰炎の症状は外陰部のかゆみや痛痒さ、外陰部のただれや発赤です。

❀カンジダ膣炎の検査は、オリモノを採取して顕微鏡で診ます。カンジダが見えます。カンジダには種類があります。Candida albicansというカンジダの種類がほとんどですが、一部にCandida glabrataというカンジダの種類があります。Candida glabrataは顕微鏡では見えにくいカンジダの種類です。Candida glabrataは治りにくいことがあり長めに治療する事があります。オリモノの顕微鏡検査をしてカンジダが見えなくても、カンジダの症状がある場合はカンジダの治療をします。

❀カンジダ膣炎の治療は、膣内にカンジダを殺す膣座薬を挿入します。
週1回挿入(1回だけ)する座薬と1日1回1錠6日間挿入する座薬と2種類あります。週1回挿入(1回だけ)で済む座薬の方が便利です。座薬は膣内で徐々に溶けて崩れて無くなります。座薬が徐々に崩れて粉っぽいオリモノが出ることがあります。週1回挿入、1回でほとんどの方は治ります。治らない方は1週間後にもう1度挿入します。稀に座薬が脱出する方がいます。
1日1回6日間膣座薬を自宅で自己挿入していただく場合もあります。しかし、毎日6日間通院して膣洗浄して座薬を入れる方がやや治療効果が優れています。
❀カンジダ外陰炎の治療は、カンジダを殺す軟膏を1日2~3回、5~7日続けて塗ります。外陰部の痒みや発赤やただれがひどい方は、痒み止めや消炎作用の軟膏を適宜併用します。
❀膣炎と外陰炎を同時に治療しないと治りにくいです。
❀カンジダ膣炎、外陰炎共に、症状がなくなったら治癒とします。カンジダはカビなので何処にでも常在していて完全には消失しません。症状がなくなった時点で治癒とします。

②細菌性膣炎
*オリモノが多くて困る時は、カンジダ膣炎の次に細菌性膣炎が多いです。
*オリモノが多く、又臭いが強く気になります。膣炎をおこすので性交時出血しやすくなります。
*膣の中で、雑菌が異常増殖して起こります。
*オリモノを採って顕微鏡で診ると雑菌の増殖が見られます。治療は、膣の中に雑菌を殺す抗生物質の膣座薬(クロマイ膣錠)を数日挿入します。治りが悪い時はフラジール膣錠に代えて数日挿入します。数日挿入するとすぐに治ります。
                                  
産婦人科外来での鑑別診断の手順と薬物療法’15、  ガイドライン婦人科編’11、’14

39)オリモノが多い:①カンジダ膣炎、②細菌性膣炎、性感染症(③トリコモナス膣炎,④クラミジア,⑤淋菌)、⑥萎縮性膣炎

オリモノが多い
性感染症(③トリコモナス膣炎,④クラミジア,⑤淋菌)、
③トリコモナス膣炎
症状:オリモノが多く、臭いが強く気になります。膣の中にトリコモナス原虫がいて膣炎を起こします。膣炎を起こすので性交時出血しやすくなります。
*主に膣の中にいて膣炎を起こしますが、バルトリン腺や尿道内に入り込むこともあります。
*トリコモナス原虫が感染していても、無症状の方が10~20%(20~50%という意見もあります)います。感染していても症状が出ない事が1/3あるので、いつ感染したかわかりにくいことも多いです。
*トリコモナス原虫とは顕微鏡で診なければわからない小さな虫です。顕微鏡で診ると楕円形の形をしていて短い尻尾がついていて尻尾を振りながらチョコチョコ動いているのが見えます。
*トリコモナス原虫の数が少ないと、トリコモナス原虫が実際にはいるのに顕微鏡では見えず、膣分泌物培養検査が必要になることがあります。
*主に性交で感染するので性感染症に分類されます。稀ですが性交でなくも下着、浴槽、便器から感染することもあります。
治療:基本は内服です。フラジール内服薬1回1錠1日2回、10日間服用、又はチニダゾール1回4錠1回だけ服用します。
  さらに
膣錠を併用すると再発率が下がります。膣錠併用は、フラジール膣錠1回1錠1日1回、10日間挿入します。
妊娠12週未満の妊婦の方は、内服薬は胎児に影響するので、膣座薬で治療します。
*治療後、トリコモナス原虫が消失したかどうか、再検査をします。大多数の方はすぐに治りますが難治性の方もいます。難治性の方は1週間空けてもう一度服用します。
トリコモナス治療薬(ニトロイミダゾール系の薬)は、服用中及び服用終了後3日間はアルコール禁止(アルコールを飲むと腹痛、嘔吐、潮紅が起こることがあります)です。
男性も同時に同様な内服が必要です。
*男性が検査する場合は、尿検査(尿顕微鏡検査、尿培養)で行います。男性の検査は難しく、トリコモナス原虫がいても陰性(いない)との結果が出ることがあります。その為男性の検査は必須ではありません。
予防:コンドームを使用します。
                                              産婦人科外来での鑑別診断の手順と薬物療法’15、  ガイドライン婦人科編’11、’14
④クラミジア
*クラミジアという微生物の感染で起こります。性感染症です。性感染症の中で最も多いです。クラミジア感染は10~20代の方に集中しています。
*感染後1∼3週間で発症します。
症状:オリモノが多い、不正出血、下腹部痛、性交痛、内診痛です。「オリモノが多いとか下腹部痛」の症状は通常は弱いです。クラミジア感染しても50~70%(90%以上という意見もあります)の方は
  無症状です。その為いつ感染したかわかりにくいことが多いです。又感染があっても無症状の事が多いので、自覚が無いまま相手の方に感染させることも多いです。

*クラミジアが子宮の出口(子宮頸管)~上に上がって行き子宮や卵管や腹腔に達することがあります。稀ですが骨盤腹膜炎になって下腹部激痛が起こることもあります。
*クラミジアが卵管や腹腔に達すると、卵管閉鎖や卵管癒着や腹腔内癒着が起こり不妊の原因になります。又妊娠中の方は流産や早産の原因になります。生まれた新生児に感染して肺炎や結膜炎を起こすことが
  あります。

検査法:基本は、子宮の出口(子宮頸管)を綿棒で擦って採取して検査します。下腹部痛があるが場合は血液検査で調べることもあります。
*クラミジア感染と淋菌の混合感染もあるので、クラミジアと淋菌と同時に調べることも多いです。 
*クラミジア検査の正診率(正しく診断される確率)は100%ではありません。クラミジアに感染していても「感染なし」との結果が出ることもあります。
*クラミジアの咽頭感染:Oral Sexでも咽頭にクラミジアが感染します。治りにくい扁桃腺炎や咽頭炎は、喉のうがい液を使って、クラミジアの検査をします。
*男性の症状:尿道炎(尿道から膿の様な分泌物が出ます)、睾丸炎(睾丸の腫れ、睾丸の痛み、男性不妊の原因になります)。
*男性が検査する場合は、初尿(=出始めの尿を採って)を使って尿検査します。
治療:ジスロマック4錠1回だけ服用します。1回の服用で99%治癒します。服用後2~3週間以上たってからクラミジアが消失しているかどうか再検査します。ジスロマックは妊婦さんでも服用です。
  4錠を1回で服用すると胃痛が起こることがあるので1~2錠ずつ少し時間をずらせながら服用すると良いです。

*男性も同時に同様な内服が必要です。
予防:コンドームを使用します。
                       
産婦人科外来での鑑別診断の手順と薬物療法’15、  ガイドライン婦人科編’11、’14、 日産婦誌60巻6号N-124

⑤淋菌
*感染する場所:子宮頸管(子宮の出口)、バルトリン腺(膣口周囲の分泌腺)、子宮内膜、卵管、子宮周囲、肝臓周囲、咽頭(喉)、結膜(目)、直腸です。
症状:クラミジアと似ていて、オリモノが多い(膿の様)、不正出血、下腹部痛、排尿痛、頻尿です。
   女性では、症状が弱く、軽度のオリモノ増加だけで、50%が無症状と言われています。その為いつ感染したかわかりにくいことが多いです。感染があっても無症状の事が多いので自覚が無いまま相手の方に感染
         させることも多いです。
   男性では、症状が強く尿道炎が起こって灼熱感のある排尿痛が起こります。男性でも10%は無症状です。
*無治療のまま放置すると、卵管炎、子宮周囲癒着が起こり、不妊や子宮外妊娠の原因になります。妊娠中の方は流産早産の原因になります。又骨盤腹膜炎、肝臓周囲炎等の重症になることがあります。
*感染はクラミジアと同じく10~20代の方に集中しています。
*感染伝達率は高く、相手の方が淋菌に感染していると、1回の性交で30%の方は感染します。

検査法:
❀淋菌の性器感染の検査法:女性では、子宮の出口(子宮頸管)を綿棒でこすって採取して検査します。
❀淋菌の咽頭感染検査法:喉のうがい液を使って検査します。
   
淋菌の咽頭感染:Oral Sexでも咽頭に淋菌が感染します。治りにくい扁桃腺炎や咽頭炎は淋菌感染を考えます。
   
淋菌の性器感染がある場合の10~30%は咽頭にも淋菌感染があります。咽頭感染があっても無症状の事が多いです。その為自覚が無いまま相手の方に感染させることも多いです。
❀男性の淋菌感染検査法:初尿(排尿時の出始めの尿)で検査します。

*淋菌とクラミジアの混合感染も多く又症状も似ているので、淋菌とクラミジアを同時に検査することも多いです。
治療:基本はロセフィン点滴1回だけです。男女同時にします。重症の方は数日続けることもあります。
予防:コンドームを使用します。
                              
産婦人科外来での鑑別診断の手順と薬物療法’15、  ガイドライン婦人科編’11、’14、 産婦人科研修の必修知識’13